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この発想とデザインがおもしろい
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この発想とデザインがおもしろい

第1回4月17日更新

海外からの生活品・目からうろこデザイン

松平悠公子[日経BP社 エコマム プロデューサー]

プロフィール

歌うカッティングボード

バーズアイメープルのカッティングボード

 衝動買いをめったにしないのを密かに自慢にしていますが、このカッティングボードには「出会ってしまった」感じでした。
 料理が好きなので、これまでたくさんのまな板を使ってきました。どれも悪くないけれど、ピンとくるものに出会っていなかったのです。ところが、ある日、通りがかりのお店で写真のカッティングボードを見たとたん「これしかない」とインスピレーションが湧き、気づいたときには、包みを抱えて外に立っていました。
 素材は、高級木材のバーズアイメープル。鳥の目のような小さな斑点が一面に入っています。やすりを丁寧にかけた形は手にしっくりとなじみ、包丁をしっかりと受け止めて、まるで歌うような音を立てます。表面は丁寧にやすりがかけられ、手をすべらせても何のざらつきもなく、冷たくすべらかです。
 これまでまな板といえば、実用一辺倒。デザインの美しさとはあまり関係がない視点で選んでいたので、美しさと機能性を共存させたこのまな板との出遭いは、私にとってかなりの衝撃でした。

台所の道具は一生もの

 台所の道具にしては、かなり思い切ったお値段でしたので、ちょっと家族には言い出せずにいたのですが、同居する73歳の母に値段を聞かれ、おそるおそる白状したところ「洋服を買うのに比べれば安いじゃないの」とあっさりといわれ、拍子抜けしてしまいました。
 母の理屈は「台所の道具は毎日使うもの。いいものを使うと、それだけ毎日の台所仕事が楽になるのだから“投資”だとおもってきちんとしたものを買った方がいいでしょう。ブラウス一枚を買ったところで、毎日着られるわけじゃなし、それを考えたら安い、安い」というのです。
 かなり強引な理屈ではありますが、確かに納得するところがありました。クローゼットに眠っているムダな洋服に費やしたお金を考えると、台所道具はケタ違いに安い投資ですし、何よりも毎日のごはん作りを楽しくしてくれます。

職人さんの仕事にはきちんとした対価を

 職人さんがたくさん出入りする家で育った母は「いい仕事はそれなりの手間がかかっているのだから、手間賃を惜しんではいけない」という哲学の持ち主です。
 手仕事の技がすたれないように、いつまでもいいものが手に入るように、いい仕事をする職人さんには、それなりの対価を払うのが、消費者の知恵であり、義務だと考えているのです。
 なめらかなバーズアイメープルのカッティングボードには、想像もつかないほどの手間と時間がかけられているのでしょう。
 私がカッティングボードを買ったことで、労を惜しまずいいものを作った人の暮らしが成り立って、またいいものを作ろうと思ってくれたらいいな、と思ったりしています。買い物は、結局のところ、売り手と買い手の価値観のコミュニケーションなのですから。
 カッティングボードに添えられたメッセージを見ると、作者はエドワード・ウール( http://www.edwardwohl.com/index.html )という人でウィスコンシン州の田舎に住む木工作家のようです。この人は、このカッティングボードをどんな風に削っていたのだろう。
 包丁をもちながら、ふとそんなことを思っています。

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ダイソン。吸引力の変わらない、ただひとつの掃除機。
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