いつも身近にある家電製品。あまりに見慣れていて、それが当然のデザインのように思い込んでいますが、ふと、海外製品を見ると「アレ?違うんだ」と思うことがありませんか。デザインとは往々にして文化を反映するもの。そこでこのコラムでは、家電のデザインから垣間見える“文化の違い”についてお話したいと思います。
第一回目の今回は、冷蔵庫。日本の冷蔵庫って、扉が細かくて多いと思いませんか。どうしてこんなに扉が増えたのでしょう。 昭和30年代に普及が進んだ冷蔵庫、冷蔵室の中に製氷室がチョコンとあるだけのシンプルな構成のため、当時はまだ1枚扉でした。そして、冷凍室の登場により2枚扉がお目見え。さらに野菜室が独立し3枚扉へと進化。その後、製氷室の独立により4枚扉となり、切替えルームの登場で5枚扉に。そして、フレンチドア(両開き)の流行で6枚扉へ...と増加。その上、両開き扉の比率が3:7/4:6/5:5と、各社いろいろ。そのため、タテヨコにラインが入り乱れているのが、日本の冷蔵庫売り場なのです。
一方、海外メーカーの売り場を見てみますと、なんとスッキリしているではありませんか!バンバンバンと大きな白い面が並び、ラインはタテ一直線。印象が全然違います。同じ冷蔵庫なのにこの差はなぜなのでしょう。 皆さんも肌で感じているかもしれませんが、これは機能を優先する日本と、デザインを優先する欧米の差。実は、欧米の冷蔵庫も、大きな扉の内側には、冷凍室・製氷室・野菜室と、個室に分かれているんですよ。でも、デザインを優先する欧米は、あくまでフェイスはキレイな1枚扉でデザインしています。しかし、これだと中の物を出すのに、2アクションとなってしまいます。それを「面倒くさい」と考えるのが日本人。そこで、機能優先の日本では、扉を続々と増やすことを“良し”とし、今のようなデザインとなっていったという訳です。加えて、キッチンに広いスペースを確保できない日本では、大きな扉をガバーーッと開けるとあちこちにぶつかってしまいます。ならば、小さな扉をチマチマ開け閉めする方が、動きやすく使いやすかったというのも、理由のひとつだったと思われます。
扉が多いのが特徴的な日本の冷蔵庫ですが、もうひとつ、各室内の仕切りにも大きな違いが見受けられます。まとめて買った食材をドーンと入れておく欧米の買物スタイルに対し、毎日細々と食材を買いに行き、少しずつ保存するのが日本の買物スタイル。そのため、野菜・果物・ボルト大中小・タマゴ・わさびチューブに至るまで、実に細かく場所が想定され、高さが変えられる棚やポケットが細かく配置されています。そして、決められた場所にキチンと入れるのも、日本人ならではの気質。タマゴ室にトマトを入れたっていいじゃない!と思っていても、皆さんキチンとタマゴを入れていますよね?細かい仕切りを駆使して、しっかり使いこなしているのは、そんな日本人気質があるからかもしれません。 このように、冷蔵庫のデザインひとつにも、その国のこだわり・文化・気質が反映されるものです。家電からその国の文化が感じられるのは、何だか楽しいものですね。