洗濯機と言えば、人気を集めているのがドラム式。インテリア雑誌にでてくるユーティリティーのようで、何となくカッコイイというのも、理由のひとつではないかと思います。でも日本の洗濯機は、長いことドラム式ではありませんでしたよね。どうしてでしょう? 今回は、そのあたりについてお話したいと思います。
日本の一般家庭に洗濯機が普及したのが、昭和20年代後半。それ以来、洗濯機といえば、洗濯槽に水を貯めて洗う「タテ型」のデザインが日本の定番でしたね。水が豊富に使える日本では、たらいに水を溜める“溜め水洗い”や、川で洗う“流し洗い”が一般的な洗濯スタイルでした。この洗濯文化を踏襲し、洗濯槽に溜めたたくさんの水をぐるぐる回す【渦巻き式(噴流式)】の洗濯機が開発され、「タテ型」のデザインとなったのです。ちなみに、アメリカで初めて登場した洗濯機も似たような「タテ型」です。しかしアメリカは、少しの水で洗濯ができるよう、中に大きな棒が立っていて洗濯物をかきまわす【撹拌式】。外見は似ていても中身が違うのが、文化の違いの表れですね。
一方、ヨーロッパは洗濯槽がヨコになっている「ドラム型」が主流。ヨーロッパの水は硬水のため石鹸が溶けにくく、水も豊富ではありませんでした。そのため、洗濯スタイルは、少しの水で洗う“たたき洗い”が一般的。ドラム缶をヨコにした様な洗濯槽を回すことで、洗濯物を上から下へ落とし、少ない水量でのたたき洗いを実現しています。この「ドラム型」は“たたき洗い”をするのに都合が良い形だったということです。これもまた、必然的に生まれたデザインなのです。
このように、洗濯文化を顕著に反映してきたのが洗濯機。そのため、やはり日本では、いくらデザインに憧れていても、ヨコ型のドラム式はなかなか定着しませんでした。しかし、日本人はあきらめません。そんな中で登場したのが「ななめ型」。ドラムをななめにして、水を溜めてしまったのです。スゴイ発想、スゴイ根性、あっぱれです!その結果、憧れのドラム式を使ってみたい...でも“溜め水洗い”をしたい...という主婦の心を、ガシッッと鷲づかみにしました。お見事です。まさに、これからの洗濯機の顔となるデザイン登場の瞬間だったのではないでしょうか。